〔主な規定〕
1 耐容一日摂取量人が生涯にわたって継続的に摂取したとしても健康に影響を及ぼすおそれがないダイオキシン類の摂取量:1日当たり体重1kg当たり 4pg(ピコグラム) |
2 環境基準人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準: 大気 0.6 pg/m3以下 水質 1 pg/リットル以下 土壌 1,000 pg/g 以下 |
3 排出ガス及び排出水に関する規制排出ガス又は排出水について定めた排出基準(政令の地域指定に基づき、知事が排出ガスについて総量規制基準を定めた場合には、その基準を含む。)が適用される事業場は、排出基準に違反してダイオキシン類を排出してはならない。 |
4 汚染の状況に関する調査等知事は、大気、水質及び土壌のダイオキシン類による汚染の状況について常時監視し、調査測定を行い、その結果を公表する。排出基準が適用される特定施設又は特定事業場の設置者は、毎年1回以上、ダイオキシン類の排出等の状況を測定し、知事に報告する。知事は、測定結果を公表する。 |
5 汚染された土壌に係る措置知事は、土壌についての環境基準を満たさない一定の地域を土壌汚染対策地域として指定し、ダイオキシン類により汚染された土壌の除去に関する事業の実施に関する事項等を内容とする土壌汚染対策計画を定める。 |
6 住民の意見等住民は、知事に対し、総量規制の地域指定の政令の立案について内閣総理大臣に申出をするよう申し出ることができる。知事は、総量削減計画及び土壌汚染対策計画を定めようとするときは、公聴会を開き、関係する地域の住民の意見を聴かなければならない。 |
●事業者の責務
事業活動を行うに当たっては、これに伴って発生するダイオキシン類による環境汚染の防止又はその除去等をするために必要な措置を講ずるともに、国又は地方公共団体が実施する施策に協力しなければならないとされています。
●ダイオキシン類とは
この法律では、次に掲げるものをいいます。- ポリ塩化ジベンゾフラン
- ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン
- コプラナーポリ塩化ビフェニル
●対象事業者
この法律によりダイオキシン類の排出が規制されるものは、次表に掲げる特定施設又は特定施設を設置する工場・事業場です。
大気の排出基準が適用される特定施設 |
|||
別表第1 号番号 |
特 定 施 設 の 種 類 | 該 当 規 模 要 件 | |
1 | 焼結鉱(銑鉄の製造の用に供するものに限る。)の製造の用に供する焼結炉 | 原料の処理能力が時間当たり1t以上 | |
2 | 製鋼の用に供する電気炉(鋳鋼又は鍛鋼の製造の用に供するものを除く。) | 変圧器の定格容量が1,000kVA以上 | |
3 | 亜鉛の回収(製鋼用電気炉の集じん灰からの亜鉛の回収に限る。)の用に供する焙焼炉、焼結炉、溶鉱炉、溶解炉又は乾燥炉 | 原料の処理能力が時間当たり0.5t以上 | |
4 | アルミニウム合金製造(原料としてアルミニウムくず(当該工場の圧延工程から生じたものを除く。)を使用するものに限る。)の用に供する焙焼炉、溶解炉、乾燥炉 | 焙焼炉、乾燥炉 | 原料の処理能力が時間当たり0.5t以上 |
溶解炉 | 容量が1t以上 | ||
5 | 廃棄物焼却炉 | 焼却能力(合計)が時間当たり50㎏以上 又は火床面積(合計)0.5㎡以上 |
別表第2 号番号 |
水質の排出基準の対象となる特定施設 |
1 | クラフトパルプ、サルファイトパルプ製造の用に供する塩素系漂白施設 |
2 | 塩化ビニルモノマーの製造の用に供する二塩化エチレン洗浄施設 |
3 | アルミニウム又はその合金の製造の用に供する焙焼炉、溶解炉又は乾燥炉から発生するガスを処理する廃ガス洗浄施設、湿式集じん施設 |
4 | 大気基準適用施設である廃棄物焼却炉から発生するガスを処理する廃ガス洗浄施設、湿式集じん施設 |
大気基準適用施設である廃棄物焼却炉から生ずる灰の貯留施設であって、汚水等を排出するもの | |
5 | 廃PCB等又はPCB処理物の分解施設 |
PCB汚染物又はPCB処理物の洗浄施設 | |
6 | 上記1号から5号及び7号の施設から排出される下水を処理する下水道終末処理施設 |
7 | 上記1号から5号までの施設を設置する事業場から排出される水の処理施設 |
●届出関係
平成12年1月15日現在、特定施設を設置している方(設置工事をしている場合を含む。)又は、今後、特定施設を設置しようとする方は、次のような届出が必要です。(届出書には、正本に写しを添えてください。)
届出の種類 | 届出を要する場合 | 届出の期限 |
使用届 | 既に設置されている施設が特定施設になった場合 | 平成12年2月14日まで |
設置届 | 新たに施設を設置する場合 | 工事着手の60日前まで |
構造等変更届 | 施設の構造、使用の方法、発生ガス・汚水・廃液の処理の方法を変更する場合 | |
使用廃止届 | 施設を廃止した場合 | 廃止後30日以内 |
氏名等変更届 | 氏名、名称、代表者や住所が変更になった場合 | 変更後30日以内 |
承継届 | 施設の譲渡・貸借、相続、合併があった場合 | 承継後30日以内 |
●排出規制関係
特定施設又は特定施設を設置する工場・事業場に適用される排出基準(許容限度として定められた値)は次のとおりです。□ 大気関係:特定施設から大気中に排出される排出ガスに適用される排出基準 (単位:ng-TEQ/m3N )
特定施設の種類 | 新設施設の 排出基準 |
既設施設の排出基準 | |||
H12.1.15 - H13.1.14 |
H13.1.15 - H14.11.30 |
H14.12.1 - 当分の間 |
|||
廃棄物
焼却炉 |
4t/h以上 | 0.1 | 基準の適用 を猶予 既に他法令で定 |
80 | 1 |
4t/h未満 2t/h以上 | 1 | 5 | |||
2t/h未満 | 5 | 10 | |||
製鋼用電気炉 | 0.5 | 20 | 5 | ||
焼 結 炉 | 0.1 | 2 | 1 | ||
亜鉛回収施設 | 1 | 40 | 10 | ||
アルミニウム合金製造施設 | 1 | 20 | 5 |
□ 水質関係:特定施設を設置する工場又は事業場から公共用水域に排出される排出水に適用される排出基準 ( 単位:pg-TEQ/リットル)
特 定 施 設 の 種 類 | 新設施設の 排出基準 |
既設施設の排出基準 | ||
H12.1.15- H13.1.14 |
H13.1.15- H15.1.14 |
H15.1.15 以降 |
||
クラフトパルプ、サルファイトパルプ製造用の塩素系漂白施設 | 10 | 基準の 適用を 猶予 |
10 | 10 |
廃PCB等又はPCB処理物の分解施設 PCB汚染物又はPCB処理物の洗浄施設 |
||||
アルミニウム、アルミニウム合金の製造の用に供する溶解炉、乾燥炉又は焙焼炉に係る廃ガス洗浄施設、湿式集じん施設 | 20 | |||
塩化ビニルモノマーの製造施設のうち二塩化エチレン洗浄施設 | ||||
大気基準適用施設である廃棄物焼却炉の廃ガス洗浄施設、湿式集じん施設大気基準適用施設である廃棄物焼却炉から生ずる灰の貯留施設であって汚水又は廃液を排出するもの | 50 | |||
上記の施設を設置する事業場から排出される水の処理施設 | 10 | |||
上記の施設から排出される下水を処理する下水道終末処理施設 |
●自主測定・報告関係
大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者は、次によりダイオキシン類の自主測定を行わなければなりません。
測 定 対 象 | 測 定 対 象 試 料 | 測定回数 |
大気基準が適用される廃棄物焼却炉 |
排出ガス 当該施設の 集じん機のばいじん 焼却灰その他の燃え殻 |
年1回 以 上 |
上記以外の大気基準適用施設 | 当該施設の排出ガス | |
水質基準適用事業場 | 当該事業場の排出水 |
また、測定を行った場合には、その結果を次により環境管理事務所に報告しなければなりません。県は、報告の有無及び報告のあった測定結果を公表します。
報告期限:測定を行った日から60日以内 報 告 先 :工場又は事業場の所在地を管轄する環境管理事務所 報告様式:総理府令で定める様式第6による。 測定方法:政令で定めるところによる。 自社による測定ができない場合には、 計量証明を行いうる分析会社に委託して測定を実施する。 そ の 他 :大気基準適用施設の煙突に排出ガス測定口のない場合には、必ず 測定口を設置する。 |
- 設置場所:煙突が直線状で太さの変化がない場所に設置してください。
- 形 状:内径が10~15cm程度のもので、測定時以外は適当なふたで密閉しておけるものにしてください。
●罰則
この法律の規定及びそれに基づく命令に違反した場合の罰則は次のとおりです。
・特定施設の設置届、構造等変更届に対する計画変更命令等に違反した場合 ・排出基準違反のおそれに対する改善命令又は一時停止命令に違反した場合 |
1年以下の懲役又は 100万円以下の罰金 |
・排出基準に違反した場合 ・事故時における措置命令に違反した場合 |
6月以下の懲役又は 50万円以下の罰金 |
・過失により排出基準に違反した場合 | 3月以下の禁錮又は 30万円以下の罰金 |
・特定施設の設置届、構造等変更届をせず、又は虚偽の届出をした場合 | 3月以下の懲役又は 30万円以下の罰金 |
・特定施設の使用届をせず、又は虚偽の届出をした場合 ・特定施設の設置又は構造等変更に係る実施の制限に違反した場合 ・特定施設の状況その他必要な事項の報告要求に対して報告をせず、若しくは 虚偽の報告をし、又は立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合 |
20万円以下の罰金 |
・大気基準が適用される施設が水質基準の対象になった場合(逆を含む。)の 使用届、氏名等変更届、承継届をせ又は虚偽の届出をした場合 |
10万円以下の過料 |
●その他
廃棄物焼却炉以外の特定施設を設置する工場・事業場は、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」に基づく公害防止組織を整備する必要があります。
この制度は、平成13年7月16日から施行されます。